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債務整理全般 弁護士の債務整理コラム

保証人になったら借金の督促がきた場合の対応

投稿日:2022年5月5日 更新日:

「絶対に迷惑をかけないから保証人になって欲しい。」「家を借りるために保証人が必要だから。」などと言われ断り切れずに保証人になる方は多くいらっしゃいます。
しかし保証人の意味についてよく知らないまま保証人になってしまうと忘れた頃に借金の取り立てが来ることがあります。

保証人についてよく理解した上で保証人になることを承諾するか慎重に判断しましょう。また借金の督促に対してどのように対応すべきかも知っておきましょう。


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1 保証人とは?

「保証」とは他人の借金に関して借主が返済できなくなった場合に代わりに借金を返済することに同意するという意味です。

「保証」は借金の借主ではなく、貸主との約束です。
そのため借主と間で「保証人になります。」と約束しただけでは保証人にはならず、貸主との間で「保証人になります。」と約束しなければ保証人としての責任は追及されません。

また貸主と「保証人になります。」と約束した場合でも、口約束に過ぎない場合は保証人としての責任は追及されません。
保証は契約書等書面を交わさなければいけないというルールがあるからです。

「民法第446条
1 保証人は、主たる債務者がその債務を履行しないときに、その履行をする責任を負う。
2 保証契約は、書面でしなければ、その効力を生じない。」

2 保証人は誰でもなれるのか?

保証人には保証人となることができる資格がというものがあります。

①行為能力者であること
②弁済を有する資力を有すること

の2つの資格が必要となります。

(1)行為能力者であること

「行為能力者」というのは反対の言葉である「制限行為能力」を理解した方が分かりやすいです。
「制限行為能力」というのは自分自身だけでは保証人になることを決める能力が不十分で、一定の関係人による者の同意が必要な場合のことをいいます。
例えば未成年者の場合は親権者である親の同意が必要です。親の同意がなく保証人になっても親が取り消すことができます。未成年者は「制限行為能力者」ですので保証人になる資格はありません。
他には成年被後見人、被保佐人、被補助人の立場に当たる方が、「制限行為能力者」に当たります。
お金の貸主としては保証の約束を後日取り消されると保証人がいない状態になります。このような事態を避けるために、そもそも保証人になることにつき第三者の同意が必要な方や後日取消される可能性のある方は保証人の資格がないと定められているのです。

もし保証人になった当時「制限行為能力者」であった場合には後日保証を取消できる可能性がありますので確認しましょう。

なお、2022年4月1日から18歳で「成人」となりました。そのため、これまで20歳未満の未成年者であれば保証人になることはできませんでしたが、今後は18歳以上であれば保証人になることができます。安易に保証人になってしまわないよう注意が必要です。

(2)弁済をする資力を有すること

「弁済をする資力を有すること」とは、借金を返済することができるたけの収入や資産がある方のことを指します。
保証人になる際には保証人の収入を申告することがほとんどです。
借主が借金を返済できない時のための保証人ですので保証人が返済できるだけの収入や財産を持っていないと保証人の意味がないからです。

保証人になった際には収入があった場合でも、その後収入が無くなる場合があります。
そのような場合には、貸主が要求すれば「弁済をする資力を有する」保証人を新たに探さなければなりません。
他方、保証人が収入が無くなったこと資産がないことを理由に保証人側から「資格が無くなったから保証人を辞めたい。」と要求する権利はないことに注意が必要です。

「民法第450条
1 債務者が保証人を立てる義務を負う場合には、その保証人は、次に掲げる要件を具備する者でなければならない。
① 行為能力者であること。
② 弁済をする資力を有すること
保証人が前2号に掲げる要件を欠くに至ったときは、債権者は、同項各号に掲げる要件を具備する者をもってこれに変えることを請求することができる。」

3 保証人と連帯保証人の違いは何?

保証人の場合であっても「連帯」保証人の場合であってもお金を借りた人が借金を返すことができなくなった場合に代わりに借金を返済する義務を負うという点では同じです。

保証人と連帯保証人とは字のごとく「連帯」という言葉が入っているかどうかで区別されます。
そして法律上「連帯」保証人の場合
①催告の抗弁がない
②検索の抗弁がない
③分別の利益がない

という3つの点で通常の保証人と区別されています。

(1)催告の抗弁

催告の抗弁とは、貸主がが保証人に借金の肩代わりを請求してきた場合「まずはお金を借りた本人に請求してください!」と反論する権利のことをいいます。
まずは借金をした本人に返済を請求すべきというのが一般的な感覚です。

しかし、「連帯」保証人の場合、催告の抗弁はありません。そのため貸主は、借金をした本人に返済を要求せずにいきなり連帯保証人に請求することができるのです。
そして「連帯」保証人は請求を拒むことができないのです。

「民法第452条 債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は、まず主たる債務者に催告をすべき旨を請求することができる。ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又はその行方が知れないときは、この限りでない。」

(2)検索の抗弁

検索の抗弁とは、「貸主がお金を実際に借りた人に請求したものの返済を受けることができないと判断した場合であっても、保証人がお金を借りた人に資力があることや強制執行によって回収が可能であることを証明した場合には保証人に対する請求はできない!」と反論する権利のことをいいます。
保証人は本人に返済するだけの収入や預貯金がないときに支払う立場というのが一般的な感覚です。

しかし「連帯」保証人の場合、検索の抗弁はありません。そのため、貸主は借金をした本人が返済するだけの十分な収入や預貯金があることを知っていたとしても、保証人に対して連帯保証人に対して請求できるのです。
そして「連帯」保証人は請求を拒むことができないのです。

「民法第453条 債権者が前条の規定に従い主たる債務者に催告をした後であっても、保証人が主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、債権者は、まず主たる債務者の財産について執行をしなければならない。」

(3)分別の利益

分別の利益とは、保証人が複数人いる場合に借金全額を返済する義務があるのではなく、保証人の数で割った借金の返済しかないと主張する権利のことをいいます。
例えば100万円の借金に対して保証人が2人いる場合、1人の保証人は50万円しか返済義務を負いません。

しかし「連帯」保証人の場合、分別の利益はありません。そのため、保証人が複数人いた場合でも貸主は1人の保証人に対して全額の返済を要求できるのです。
そして「連帯」保証人は請求を拒むことができないのです。

「民法第456条 数人の保証人がある場合には、それらの保証人が各別の行為により債務を負担したときであっても、第四百二十七条の規定を適用する。」
「民法第427条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。」

以上のように「連帯」保証人は通常の保証人よりも重い責任となっています。現在ではほとんどが「連帯」保証人になっていますが、奨学金の保証人などは「連帯」ではなく通常の保証人になっていることがあります。
ご自身が契約した保証が「連帯」保証なのか通常の保証なのか確認した上で適切な対応を取りましょう。

4 根保証において極度額の定めがないと責任を負わない

2020年4月1日から民法改正により根保証をする場合は極度額を定めなければ保証人は責任を負わないというルールに変更されました。

保証人と「連帯」保証人とは保証人の立場の違いによる責任の重さの違いでした。
これに対して通常の借金の「保証」と「根保証」というのは借金の性質・内容に着目した違いです。

根保証とは、一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務の保証のことをいいます。
分かりやすくいうと家賃のように1回ではなく複数回発生する債務の保証のことです。
例えば100万円の借金をした方の保証人になった場合、保証人として100万円を請求されるリスクがあります。他方で100万円が限度という予想ができます(遅延損害金等を除く。)。
しかし家賃の保証人になった場合、家賃は毎月発生するものですので、将来滞納家賃をいくらぐらい請求されるリスクがあるか不明確です。例えばマンションの家賃が毎月10万円であった場合2年間滞納すれば220万円を請求されるリスクがあるのです。滞納が3年の場合は330万円となり上限なく膨れ上がります。
このように保証の範囲が予測できず気づいた時には多額の借金の保証人となっていることを避けるために、根保証の場合は上限額を決めておかなければならないというルールに変更されました。

2020年4月1日以降に根保証の契約をした場合に保証の上限額(極度額)を定めていなければ保証人としての責任は負いませんので、契約書をご確認ください。

「民法第465条の2 
2 個人根保証契約は、前項に規定する極度額を定めなければ、その効力を生じない。」

5 事業のための借金の保証は公正証書がなければ責任を負わない

2020年4月1日から民法改正により事業のための借金の保証は公正証書を作成していなければ保証人は責任を負わないというルールに変更されました。
事業経営のための借金は高額になりがちであり、また会社が倒産することも珍しくありません。
そこで保証人になることを慎重に判断してもらうために、事業のための借金の保証をする場合公正証書を作成しなければならないというルールができました。

例外として会社の取締役や大株主、共同経営者、事業に関りのある配偶者については公正証書の作成が免除されていることに注意が必要です。
2020年4月1日以降に事業のための借金の保証人になったものの公正証書を作成していない場合には保証人としての責任は負いませんので契約書等の書類をご確認ください。

民法第465条の6 事業のために負担した貸金等債務を主たる債務とする保証契約又は主たる債務の範囲に事業のために負担する貸金等債務が含まれる根保証契約は、その契約の締結に先立ち、その締結の日前一箇月以内に作成された公正証書で保証人になろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ、その効力を生じない。

6 保証人として代わりに返済した場合のその後の対応

保証人として代わりに返済した場合においても本来借金を返済する義務があるのは借金をした人自身です。保証人はあくまでも借金を肩代わりしたに過ぎません。
そこで保証人として借金を肩代わりして支払った場合は借金をした本人に対して、肩代わりした借金の全額の返済を要求することができます。

「民法第459条 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務者に代わって弁済その他自己の財産をもって債務を消滅させる行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、そのために支出した財産の額の求償権を有する。」

しかし借金の返済ができないからこそ保証人として借金を肩代わりすることになったのですから借金をした本人はお金を持っておらず肩代わりした借金を回収できないことが通常です。
場合によっては本人が自己破産をしたため、本人に対し請求できなくなることもあります。

そこで保証人になった場合には定期的に本人の返済状況や滞納状況を確認しておくべきです。
これまでは保証人であっても個人情報であったことから本人の返済状況や滞納状況を知ることはできませんでした。
しかし2020年4月1日から民法改正により貸主には保証人が請求すれば本人の返済状況・滞納状況を開示しなければならないというルールができました。

本人の滞納状況を確認した結果、滞納があればすぐに本人に連絡して状況を確認しましょう。

「民法第458条の2 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、保証人の請求があったときは、債権者は、保証人に対し、遅滞なく、主たる債務の元本及び主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たる全てのものについての不履行の有無並びにこれらの残額及びそのうち弁済期が到来しているものの額に関する情報を提供しなければならない。」
「民法458条の3
1 主たる債務者が期限の利益を有する場合において、その利益を喪失したときは、債権者は、保証人に対し、その利益の喪失を知った時から二箇月以内に、その旨を通知しなければならない。
2 前項の期間内に同項の通知をしなかったときは、債権者は、保証人に対し、主たる債務者が期限の利益を喪失した時から同項の通知を現にするまでに生じた遅延損害金(期限の利益を喪失しなかったとしても生ずべきものを除く。)に係る保証債務の履行を請求することができない。

7 保証人となったのは騙されたからだという反論

友人から「絶対に迷惑をかけないから保証人になって欲しい。」「名義だけで大丈夫だから。」と頼まれ保証人になったものの、友人は夜逃げしてしまったため、銀行や消費者金融が家に取り立てに来た。という相談を受けることがあります。

このような場合、「絶対に迷惑をかけないと言っていたから保証人になったのだから、保証人になったのは無効だ」「詐欺と同じだから無効だ」とおっしゃることがあります。

しかし、残念ながら保証人としての借金を返済する義務が免除されることはありません。保証の契約は、あなたとお金を貸した人との契約であり、お金を借りた人がどのように説明していたか等は重要視されないからです。また、詐欺というのは、初めから騙すつもりがあった場合のみ成立し、初めは返済つもりだったが、結果として返済が不可能になったというような場合は、詐欺には当たりません。

したがって保証人の責任が免除されることはほとんどの場合ありません。

8 債務整理の無料相談は「大阪バディ法律事務所」へ

保証人になったことすら忘れていて、ある日突然督促状が届いたという話を聞くことが多くあります。その場合、既に時効が成立し、借金を返済する義務が無くなっていることもあります。しかし、督促に応じて支払ってしまえば、時効を主張することができなくなりますので、督促がされた場合は、何もせず弁護士に対応をご相談下さい。

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