「突然、息子宛の借金の督促状が届いた」「息子から借金を打ち明けられたが数百万にもなっている」「妻が隠れて借金をしていたことが発覚した」というような相談を受けることがあります。
このような場合は「家族が借金を肩代わりしなければならない」「自宅が差し押さえられるのでは」「自宅に取り立てにくるのでは」と不安になられることと思います。
親族の借金は家族が返済しないといけないのか返済しなくてもいいのかご説明します。
この記事で分かること(目次)
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1 本人の名義での借金
(1)家族の返済義務の有無
銀行や貸金業者、クレジットカード会社との関係で借金を誰が返さないといけないかは契約名義で決まります。
借金の申込者やクレジットカードの名義人が借金を返済する法的義務があります。
仮に本人と家族との間で借金は家族が返済するという話し合いがされていたとしても貸主との関係では名義人で判断されます。
したがって本人の借金について家族に法的な返済義務はありません。
法律的なことよりも心情的に家族が借金を返すべきではないか?との考えもありうるところです。
確かに法的な責任は無くとも本人が借金を返済できずに他人に迷惑をかけている以上、家族としては何とかしなければならないと考えることもあるでしょう。
しかし私が知る限りでは安易に家族が借金を返済してしまったがために本人が反省せず更なる借金をしてしまうことも多くあります。また家族が一括返済してしまったがために優良顧客であると思われ借入限度額が増えてしまい、今度は返済しきれない借金となってしまったという事例もあります。
そのため家族が善意で借金を肩代わりするかは慎重に判断すべきです。
(2)家族への取り立ての対応
自宅に電話督促があったり、自宅に訪問され督促されることもあります。その際にたまたま家族が居合わせたため家族が対応した結果、家族に対して暗に返済の依頼がされることもあります。
プレッシャーをかけられ家族が肩代わりすることを断り切れない場合もあるでしょう。
しかし貸金業法という法律で家族の肩代わりを要求することが禁止されています。家族の肩代わりを要求すれば2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金になる可能性があります。
肩代わりの「要求」ではなく「提案」に過ぎないと言い訳をされることもありますが貸金業法に違反すること警察への申告をすることを伝え直ちに肩代わりの要求を中止させましょう。
第二十一条 貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
七 債務者等以外の者に対し、債務者等に代わつて債務を弁済することを要求すること
(3)家族が保証人の場合
家族が保証人になっている場合は家族に法的な返済義務が発生します。単なる保証人でも「連帯」保証人でも同じく返済義務が発生します。
保証人として家族が肩代わりした借金は本人に対して請求する法的権利が発生しますが、家族間の問題としてうやむやになってしまうことも多い状況です。
(4) 本人が死亡した場合
借金をした本人が死亡した場合には借金が相続されることになります。
家族が相続人になりますので相続放棄をしない限り家族に借金を返済する法的な義務が発生してしまいます。
相続放棄は本人死亡後3か月以内に家庭裁判所に申請しなければならないため期限が過ぎないよう注意が必要です。
2 本人が家族名義で勝手に借金をした場合
本人が勝手に家族の名前や家族名義のクレジットカードを使用して借金をする場合もあります。
借りた覚えのない借金の請求やクレジットカードの請求が届いた場合このケースが多いです。
借金は基本的に誰名義の借金なのかという点から判断されます。
本人が勝手に家族名義で借金をしていた場合原則として家族に借金の返済義務が生じます。
ただし借金をする際には必ず銀行や貸金業者は本人確認をしなければなりません。
本人確認を怠っていた場合や明らかに他人名義であるとわかっていた場合には、銀行や貸金業者に「過失」があったとして家族の借金返済義務が免除されることがあります。
しかしこのような争いが生じた場合には裁判になることがほとんどであり、裁判の負担・弁護士費用の負担等が発生してしまうことは避けられません。
3 債務整理の無料相談は「大阪バディ法律事務所」へ
借金が発覚した場合には、安易に肩代わりするのではなく、借金の原因を分析した上で本人の反省の促す必要があります。そして、本人に債務整理を勧め、責任をもって借金を整理するよう伝えるべきです。
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