はじめに
銀行や消費者金融から借金するに当たっては、限度額が設けられています。そして、借金が膨らみ、キャッシング枠がいっぱいになってしまったら、借入することができなくなります。
しかし、日々の生活や借金の返済が新たな借入に頼り切っている自転車操業の状態に陥っている場合には、新たな借入に頼らざるを得ません。そこで、クレジットカードのショッピング枠を利用して商品を購入に、すぐに売ってしまうことによって現金を作るという方法をされる方がいらっしゃいます。
これを、クレジットカードのショッピング利用枠の現金化といいます。例えば、よく聞くのが新幹線のチケットや回数券を購入し、チケットショップで売る方法です。このようなことは許されるのでしょうか。
クレジットカードによる商品の購入
クレジットカードを作る際には、申込書等に署名し、クレジットカード会社の規約に同意することになっています。
そして、クレジットカード会社の規約には、クレジットカードのショッピング利用の場合、購入した商品の所有権は、クレジットカードの請求を支払ったときに利用者に移転し、支払うまではクレジットカード会社が所有権を持つと記載されています。
つまり、クレジットカードで商品を買った場合、クレジットカードの請求を支払うまでは、その商品はあなたのものではないのです。例えば、あなたがクレジットカードを利用して、10回払いでバックを買った場合、10回目の支払いを終えるまでは、そのバックはクレジットカード会社の所有物であり、あなたの所有物ではありません。10回目の支払いを終えた時に初めてあなたの所有物になります。
この規約は、あなたが支払を怠った場合、クレジットカード会社がその商品を引き上げ、その商品を換金し、借金に充てることができるようにするためのものです。
横領罪に該当する可能性あり
もし、あなたがクレジットカードのショッピング枠を利用して買った商品を借金を支払う前に売ってしまった場合、刑法上の罪である横領罪に当たる可能性があります。
横領罪は、「自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。」と定められています。
実際上は、逮捕されたり、刑務所に行くことになった、という話は聞きませんが、犯罪であることに変わりはなく、悪質な場合には、クレジットカード会社が告訴する場合も考えられます。
自己破産が認められにくくなること
また、最終的に自己破産をすることを決意された場合でも、クレジットカード利用による現金化をしてしまうと自己破産が認められにくくなります。
破産法は、自己破産を認めない場合(免責不許可事由)を規定していますが、クレジットカード利用による現金化をした場合も、自己破産を認めない場合に含まれています。
ただし、一切自己破産を認めないとすると経済的な立ち直りができないことから、本人が深く反省している場合等には、自己破産を認めることができるようになっています。これを裁量免責といいます。
免責不許可事由と裁量免責について詳しく知りたい方はコチラをご覧ください。
さいごに
クレジットカード利用による現金化は、横領罪に当たり、また自己破産が認められにくくなる理由になります。したがって、安易にクレジットカード利用の現金化に手を出してはいけません。
もし、借金に頼る生活が抜け出せないのであれば、弁護士に相談して借金整理の方法を検討すべきです。
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